エンジニアだけど、コーディングスキルがないのでコードが書けない。コードが書けないと転職で不利になる?市場価値はあがりにくい?
こんな疑問にお答えします。
今回は「コードが書けないエンジニアが受けるデメリットと対策」について解説します。
僕自身、エンジニア歴は5年ほど。現在はフリーランスエンジニアとして関西のIT企業で働いています。日々プログラムを書いています。それらの知見をもとに解説しますね。
結論から言うと、エンジニアはコードが書けなくても市場価値は高められます。
とはいえ、コードが書けないことで受けるデメリットはあるので、どんなエンジニアでもコーディングスキルがあるに越したことはないです。
この記事を読むことで「コードが書けないリスクと具体的な対策」を把握でき、より市場価値を高めてキャリアアップする方法がわかります。
ぜひ参考にしてみてください。
前提:コードが書けないエンジニアの市場価値は低いのか

エンジニアはコードが書けないからといって、必ずしも市場価値が低いわけではありません。
まずは、以下2点について解説しますね。
- 上流工程やインフラ系は市場価値が高い
- コードが書けた方が転職は有利になりやすい
上流工程やインフラは市場価値が高い
コードが書けなくても、市場価値が高いエンジニア職はあります。
- 要件定義や設計などの上流工程を専門にするエンジニア
例:システムエンジニアやプロジェクトマネージャーなど - インフラ(クラウド系)運用に特化したエンジニア
例:インフラエンジニア(主にAWS, Azureなど)
上記の職種は、たとえプログラミングスキルがなくても需要はあります。
実際、上流工程やインフラ案件では、高単価な案件はたくさんあります。
なので、コードが書けない=市場価値が低いとは限らないです。
コードが書けた方が転職は有利になりやすい
とはいえ、どんなエンジニアでも「コードが書けた方がなにかと有利」です。
多くの企業が実装力を評価基準に含めているからですね。
転職サイトやフリーランスエージェントのサイトで案件を見ても「何かしらのプログラミング言語とセットでの開発経験」を必須スキルとしている求人は多いです。
たとえば、プログラミングの実務経験があることで、
- 自社開発企業
- スタートアップ
- フルスタックエンジニア
こういった案件に応募できるようになります。
エンジニアならコードが書ける方が、キャリアの選択肢が広がります。
エンジニアでコードが書けない原因

この章では、エンジニアでコードが書けない原因を解説していきます。
- そもそもコーディング業務がない
- コーディングスキルが不足している
そもそもコーディング業務がない
コードを書かない業務をしていると、コーディングスキルが身につきません。
どれだけ上流工程をこなしたとしても、コードを書くスキルはコードを書くことでしか磨けないからですね。
- 顧客とのコミュニケーションが中心
- 要件定義や設計、資料作成が中心
- インフラに特化した業務が中心
- テスターやヘルプデスクが中心
上記のような業務を中心に担当している場合、コードを書く機会がないため、コーディングスキルが身につきづらいです。
コーディングスキルが不足している
コーディング業務はあるけど、コードが書けるようにならないエンジニアの方もわりといます。
なぜコーディング業務があるのに、コードが書けるようにならないのかというと、
- 基礎知識が不足していて実務でついていけていない
- プログラミング言語の文法がそもそもわからない
- 調べて出てきたコードを理解せずコピペしている
- 簡単な改修やバグ直しが多く自分でロジックを考える機会がすくない
このあたりが原因かなと。
実際、僕はエンジニア1年目の時、上記の全てにあてはまっていました。なので、僕も1年目はコードが書けないエンジニアでした。
エンジニアがコードを書けないことで受けるデメリット

エンジニアがコードを書けないことで受けるデメリットを解説します。
コードを書けないデメリット
- 実現可否を正しく判断しにくい
- 技術者間の会話が難しくなる
- 問題解決の幅が狭くなる
- キャリアの選択肢が狭まる
- 転職でアピール材料が減る
実現可否を正しく判断しにくい
コーディングスキルがないことで、実装の難易度や工数を見誤るリスクが高まります。
なぜなら、実装方法や処理の複雑さを把握できないため、作業ボリュームの予測が感覚的になるからですね。
たとえば、
- 簡単に見える仕様が実は大規模な修正だったり
- 逆に難しそうに見える機能が既存コードで流用できたり
ということが起きる可能性が出てきます。
コードを理解できていないと、現実的な判断ができないです。そのため、納期スケジュールや見積もりの精度が落ちやすいです。
上流工程で作業の見積もりミスが起きると、プロジェクト全体の進捗が遅れる原因にもなります。
技術者間の会話が難しくなる
コーディングスキルがないと、エンジニア同士でのコミュニケーションが難しくなる傾向にあります。
実装に関する技術的な知見が低いため、開発者と話が噛み合わない場面がでてきて、コミュニケーションコストが発生しやすいからです。
最低限のコーディング理解がないと、エンジニア同士の連携が阻害されやすいです。
問題解決の幅が狭くなる
コーディングスキルがない場合、不具合があったときに自分で調査したり、検証したりする範囲が限られてしまいます。
コードの流れを追えないので、原因を特定するには、他のエンジニアに依存することになるからです。
- ログを見てもどの処理で止まっているか判断できない
- 事象を再現するための簡易テストができない
コードに触れないことで、技術的な問題解決能力が身につきづらいです。
キャリアの選択肢が狭まる
コーディングスキルがないと、エンジニアとしてのキャリアの選択肢は狭くなります。
IT市場は、実装スキルを前提とした案件や役割が多く、コードを書けないと対応できる領域が限定されるからですね。
たとえば、
- 開発案件への参画
- 上流工程へのキャリアアップ
- 技術リーダー職
- フルスタックエンジニア
- フリーランスへの独立
などは、実装への理解が求められることが多いため、選択肢から外れやすいです。
キャリアを柔軟に広げるなら、コーディングスキルを持っているかどうかが大きな分岐点になります。
転職でアピール材料が減る
転職時の選考で差別化しくいのもデメリットです。
コーディングスキルがないと、実力を示しづらいからですね。
経歴書だけだとテキストのみのアピールになるので、実際にコードを書いて作ったポートフォリオを見せるよりも、開発スキルの証明がしづらいです。
- エンジニア歴3年のAさん:AWSの経験+コーディングの経験+ポートフォリオ
- エンジニア歴3年のBさん:AWSなどのインフラ系のみの経験
上記の場合、スキルだけで見るならAさんの方がおそらく選考には受かりやすいです。理由としては、Aさんの方が対応できる範囲が広く、ポートフォリオでスキルの証明もできるからです。
コーディングスキルがないと転職市場で不利になりやすいです。
エンジニアがコードを書けるようになるメリット

エンジニアがコーディングスキルを身につけるメリットは以下のとおり。
- 上流工程で価値が出しやすい
- 技術者との会話がスムーズになる
- バグ・障害の初動が早くなる
- 開発チームから信頼を得やすい
- キャリアの選択肢が広がる
- 転職・評価で有利になる
上流工程で価値が出しやすい
上流工程で価値が出しやすいのはメリットです。
コードが書けるようになると、実装方法がイメージできるため、精度の高い要件定義や設計ができるからです。
- 要件定義:実装に落とし込んだ時の影響を考慮して判断できる
- 設計:バグの少ない設計や保守性の高い設計もできるようになる
コードの理解が高いほど、質の高い設計ができ、結果として実装の精度もあがります。
技術者との会話がスムーズになる
コーディングスキルがあることで、他の開発者とのコミュニケーションがスムーズになりやすいです。
システムの処理の流れやコードの概念がわかると、より踏み込んだ内容の技術的な会話ができるからです。
コードが書けない場合、技術的な会話になったときに相手の言っていることを理解できない場面が多くなります。それ以上の会話がその場でできなくなります。
コーディングスキルを習得することは、エンジニア同士のコミュニケーションコストを下げるメリットもあります。
バグ・障害の初動が早くなる
コーディングスキルを身につけることで、バグや障害の初動が早くなるのもメリットです。
なぜなら、バグや障害が起きたときに、コーディングの経験則から問題となっている原因の当たりがつけられるようになるからですね。
- コードの流れを理解してログやレスポンスを読めるようになる
- APIの返り値やエラーログから障害箇所を絞り込める
バグや障害の初動が早くなることで、チーム全体の対応力も向上します。
開発チームから信頼を得やすい
コーディングスキルがあることで、ミーティングで意見が通りやすくなります。
実装者目線の理解があることで、技術的な判断ができるからです。
コードレビューや仕様の相談の際にも、他の開発者から意見を求められたり頼られたりするポジションにつくこともできます。
コードが書けると、チームでの発言力や信頼性が大きく変わります。
キャリアの選択肢が広がる
キャリアの選択肢が広がりやすいのもメリットです。
- 上流工程
- 下流工程
- PM・テックリード
- フルスタックエンジニア
など、幅広く選択できるようになります。
たとえば今扱っている技術の需要がなくなったとしても、コードが書けることで幅広い案件に応募できるので、リスク分散にもなります。
さらにコードが書けることで、実装スキルも持ち合わせているということになるため、より単価の高い案件に応募することも可能。
コードが書けるとキャリア構築の自由度が高まり、市場価値も上がりやすいです。
転職・評価で有利になる
転職で有利になるのもメリットです。
大企業ならコーディングスキルがなくても、上流工程のみでOKだったりしますが、中小企業ならコーディングスキルが必須のところは多いです。
コードが書けると、自分でポートフォリオアプリやシステムを作れるので、スキルを証明しやすくなります。なので、面接の通過率を上げられます。
コーディングスキルは転職で大きな武器になるので、身につけておいて損はないかなと。
コードが書けないエンジニアの今後の対策案

コードが書けないエンジニアの今後の対策案を解説します。
ご自身が目指すべきエンジニア像によって、コーディングスキルを身につけるべきかどうかは変わります。
この章では、コーディングスキルを身につける場合と、コーディング以外の工程を極める場合の2パターンを解説します。
コーディングスキルを身につける
先述した「エンジニアがコードを書けるようになるメリット」の恩恵を受けたい人は、コーディングスキルを身につけるといいです。
コーディングスキルを身につけることで、技術理解が深まり、あらゆる工程で判断精度が上がります。
コーディングスキルを上げる具体的な方法
- 実務経験を積む:コードが書ける案件へ切り替える
- 独学:自分でコードを書いてGitHubにアップする習慣を身につける
大きく分けると上記のどちらかの方法、または両方でコーディングスキルをあげていくことになります。
まず、コーディングの実務経験を積む場合ですが、これは今の会社に勤めたまま別の案件に切り替えるのがひとつ。
他には転職して、コードが書ける案件に変えるかですね。
独学する場合、まずは「Progate」「ドットインストール」あたりでコーディングの基礎スキルを身につけて、「Udemy」で実践スキルを身につけると良いかなと。
基本スキルを身につけた後は、自分で何かポートフォリオアプリを作って、それをスキルシートに掲載するといいです。転職時に評価されやすいからですね。
おすすめのプログラミング言語
プログラミング言語は、初めはなんでも良いです。
強いていうなら、おすすめはPythonやGo、JavaやJavaScriptあたりですね。これらの言語は需要が高くて、案件数も多い傾向にあります。
プログラミング言語は1つを覚えると、どの言語も大体概念が似ているので、他の言語にも応用が効きやすいです。なので、まず一つの言語スキルを強化するといいですね。
たとえば、まずはフロントエンドスキルとして、JavaSrciptやJSのフレームワークスキルを身につけるのも得策です。
以下記事では、フロントエンドエンジニアになるロードマップを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

コーディング経験を積む期間の目安
コーディング経験を積む期間の目安としては、だいたい2年以上ですね。
2年以上コードを書く経験を積めば、一人称で開発できるレベルにはなってくるはずです。
コーディング案件を探す際におすすめのIT転職サイト
以下記事では、IT転職に強い転職サイトをまとめているので、転職してコーディング案件にシフトしたい方は参考にしてみてください。

フリーランスに独立しつつ、コーディング経験も積んでいきたい方は、以下でおすすめのフリーランスエージェントを紹介しているので、参考にしてみてください。

コーディング以外のスキルを伸ばす
コーディング以外の分野でキャリアを伸ばしていきたい方は、コーディング以外のスキルを伸ばすといいでしょう。
エンジニアはコーディング以外にも、やることはたくさんあります。別方向で価値を発揮する戦略も有効です。
たとえば、
- 上流工程の経験を伸ばす(要件定義、設計)
- クラウド(AWS・Azure)領域のスキルを伸ばす
上記のスキルは市場価値が高い傾向にあり、コーディングができなくても強みになります。
具体的なスキルアップ方法
要件を整理・翻訳する力をつける
たとえば、顧客の話を「本音・現状・制約」に整理し、代替案を作ると一気に上流スキルが上がります。
ただ聞くだけでなく「構造化して提案」できるエンジニアになれるからですね。
「顧客の要望を表に整理 → A案/B案にまとめて提案」みたいなイメージです。
聞くだけの人から、提案できる人にステップアップできます。
決めごとのたたき台を自分で作る
ルールや方針の初版(たたき台)を先に作ると、プロジェクトでの存在価値が上がります。
誰もやらない部分を先にやることで、主体性と設計力が伸びるからですね。
- API命名ルール案
- 監視方針案
- データ保持ルール案
これらを作るとかですね。
こういった積み重ねをすることで、「上流工程の中心人物」として評価されていきます。
非機能要件を担当する
性能や障害対応、監視などを率先して担当すると、上級エンジニアに近づいていきます。
多くの人が避ける「難しいけど価値の高い領域」だからです。
- 監視項目設計
- バックアップ計画
- 障害シナリオの整理
などなど。これらを率先して実施することで、現場で頼られる主要人材になれます。
クラウド構成の“比較”ができるようになる
クラウドサービスの比較ができるエンジニアは強いです。
特にAWSやAzure は選択肢が多く、正しく選べる人が少ないからですね。
- EC2 vs Lambda
- RDS vs DynamoDB
これらを比較して資料化するとか。アーキテクトの思考が身につくメリットもあるので、ぜひ試してみてください。
レビューする側に回る
積極的に他のエンジニアの設計レビューをすると、設計力と判断力が急成長します。
他人のミスを見ることが一番勉強になるからですね。
- 設計書レビュー
- Terraformレビュー
- クラウド構成図レビュー
率先してレビューすることで、設計力が積み上がるだけでなく、レビュー力も高まっていきます。
まとめ:コーディングスキルがあるエンジニアは強い

上流工程が中心のエンジニアやインフラエンジニアにとって、コーディングスキルは必須ではありません。
とはいえ、コーディングスキルもあるエンジニアが強いのは事実です。
コーディングスキルがあれば
- 設計の精度
- 問題解決能力
- コミュニケーションがスムーズに行える
- 転職で有利になる
といったメリットがあります。
エンジニアの総合力を大きく底上げするのであれば、どんなエンジニアでもコーディングスキルは身につけておいて損はないです。
今回は以上です。
